どらびです.
近々結婚式を挙げるのですが,それに際して結婚証明書を自作しているので,ご紹介します.
結婚証明書というとこんなモノになるのですが,
せっかくならただ飾るだけのものじゃなくて,実用性があるものがいいなあという事で,時計型の結婚証明書を提案してみました.提案ついでに作りました(笑)
上手くいけば費用も抑えられますし,DIYが好きな人なら楽しいし,自作すると過程も記憶に残るので,より結婚式を思い出深いものにできるのではないかと思います.
それでは製作過程をご紹介したいと思います.
設計
参列者人数の大まかな確認
まずは何人くらい参列者が来るのか確認しましょう.大雑把にで構いませんが,120人だと予想してたのに最終的に150人になったとかなると設計の案が結構狂うので,ちゃんと予定は立てましょう.
参列者に配るピースの分割,配置の構想を立てる
どういった形にしたいのか考えましょう.
今回は時計という事で比較的無難な円形を選びました.ピースの分け方は放射状,同心円で切った,虹のような形のピースにする事にしました.最初は何人になるかまだ検討がついていなかったので,80人パターンと100人パターンで切ってみたり色々しました.
色分けしたりしているのは,単純にその方がおしゃれだし面白いかなあと思っただけです(笑)
最終的には4つ目の切り方にしました.
で,ピースのサイズ感とかを考えていると,必要なサイズがわかってきます.
あとは時計として現実的なサイズに収めたほうが,今後使用していくうえで邪魔になったりしないですし,インテリアとして普通に調和して良いかと思います.ということで今回は直径300mm(30cm)です.
機構を考える
特に凝った構想をするわけでなければ,先の2項目でピース分割までしたものをバックパネルとして,市販の時計モジュールをはめ込めばこれだけで時計は完成するのですが,個人的にはこれだけでは楽しくないなあと思ったので,追加で機構を考えています.
遊星歯車機構を用いて,針ではなくて文字盤の方が回るようにしたら面白いのではないかという事で,下のようなデザインにしてみました.
遊星歯車機構の計算①
今回は時計本体(モジュールと呼ばれる部分)は市販のものを使います.そのため,外周部が時針と同じ速度で回るように(つまりは中心部付近のどこかと,外周部での減速比が1になるように調整する)必要があります.モジュールも自作される場合はこの辺は一切考えなくても大丈夫です.
ということで,遊星歯車の歯数構成を考えなくてはなりません.
まず上の写真でアクリルで作られている遊星歯車について考えます.こちらの方が一般的な構成ですので.
ちなみに木で作っている方の遊星歯車ですが,この部分,2段でなくてはいけないというわけではありません.
見栄え的に面白うそうという理由だけでこうしています(笑)
で本題に戻りますが,この遊星歯車のは歯数構成は,
- 中心のギヤ(サンギヤ)が12歯
- 中間の4つのギヤ(プラネタリギヤ)が6歯
- 外側の内歯車(リングギヤ)が24歯
になります.
遊星歯車は作成するうえでギアの歯数の組み合わせにいくつかの制限がありますが,ここでは詳細を書いていると本筋から外れますので,興味のある方はこちらを参考にしてみてください.いつか自分で記事を書くかもしれません.
http://www.ecs.shimane-u.ac.jp/~shutingli/ME11.pdf
この時,今回は中心の歯車を固定し,残りの歯車が動くようにしています.アニメーションにすると以下の様な動きになります.
これが一般的な遊星歯車の1単位の動きになります.今回は中心(サンギヤ)
を固定して,残りが動くにしてますが,ほかの動かし方も可能です.それに関しても先ほどのリンクを参照にするとよいかもです.基本的には3つの動かし方がありますが,もう一つの動かし方もやっているので,後程説明します.
遊星歯車機構の計算②
次に,木製の部分の説明に移りたい…ところですが,内側の構成…写真の部分です.
は,①で示したものと全く同じ動きをします.歯数構成が違って,回転の比が変わるだけです.ですので,説明は省きます.歯数構成は,
- 中心のギヤ(サンギヤ)が16歯
- 中間の4つのギヤ(プラネタリギヤ)が16歯
- 一番外側の内歯車(リングギヤ)が48歯
になります.一つだけおかしな?ところは,①のリングギアがこの遊星歯車のキャリアになっているという点です.上の写真,うっすらと①のギヤも表示していますが,一番外側のギヤ(リングギヤ)と,4つのプラネタリギヤがいい感じに重なってるのわかりますでしょうか?
この部分が一緒に回転する,ということです.
遊星歯車機構の計算③
最後は,外側の遊星歯車です.
これが少し特殊で,
- 中央の歯車(サンギヤ)が内側のリングギヤと一体化している
- 中間のギヤ(プラネタリギヤ)が一定の位置で回転する
という特徴があります.1.は見てもらった方が早いので置いておくとして,2.に関しては,定義上遊星歯車として扱わないこともあるようです.
まあ細かいことはさておき,ギア構成ですが,
- 中心のギヤ(サンギヤ)が64歯
- 中間の4つのギヤ(プラネタリギヤ)が32歯
- 一番外側の内歯車(リングギヤ)が128歯
になります.
で,ギア歯数と構成,さらにはその組み合わせ(一つ目の遊星歯車の出力を2つ目のサンギヤの入力にするのか,キャリアの入力にするのか…といった組み合わせです.)を決めると減速比が決まります.
具体的に,今回は時計の時針を,文字盤の回転に置き換えたいので,回転方向だけ反転させて減速はさせない,つまり-1の比の出力にしたいわけです.
実際に,
- ①の遊星歯車のキャリアを時計回りに1回転させる(これが時針につながる最初の入力)と,リングギヤは540度(+1.5回転)する
- ①のリングギヤが②のキャリアになっているので,②のリングギヤは①のキャリアが1回転するとき,720度(+2回転)する
- ③のプラネタリギヤはその場で③のサンギヤ(=②のリングギヤ)とかみ合っているので,①のキャリアが1回転するとき,-1440度(-4回転)する.
- ③のリングギヤ(最終出力)は内歯車で,③のプラネタリギヤとかみ合っているいて,歯数がプラネタリギヤの4倍なので,プラネタリギヤが1回転するとき,90度回転(+1/4回転)するから,①のキャリアが1回転するとき,-1440×1/4=-360度(-1回転)
というわけで,当初の要件を満たしていることがわかります.全体のアニメーションがこちら.なお,①の歯車を重ねて表示すると見づらくなるので透明にしているのと,レンダリングのバグで右下がおかしくなってますが,現在fusion360によるレンダリングは有料なので,直さないでこのまま出してしまいます.許して…
まとめ
ホントは製作も含めて1記事にしようとしてたんですけど,長くなってしまったので,いったん切ります.まだ製作途中ですし…
というわけで,ギミック付きの結婚証明書のDIYの機構設計編でした.
次回の製作編も併せてご覧いただけますと幸いです.
ちなみにですが,遊星歯車を同一平面で2個(以上)重ねているのを見たことがないので,そこそこオリジナリティは出る気がします.まあなぜないかというと,サンギヤとリングギヤを兼ねたギヤというのが非常に作りにくいからだとは思います.あと実用性が特にない.
面白いなと思った方は,不思議遊星歯車とか調べると,実用性もあって面白いと思います.
というわけで今度こそ本記事は終わりということで.それでは.
コメント
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