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レーザー加工機製作記番外編【脱臭装置自作】

レーザーカッター
この記事は約7分で読めます。

久々のレーザー加工機製作関連の記事になります。メインとなる本体の製作記録は次のリンクからご覧ください.

モノ自体は出来てる(不具合もたくさんあるのですが)ので、レーザー加工機本体の改善やら何やらはしばらくはやらないと思いますが、そうは言っても早急に対処しなければならない問題が一つだけあります。

臭い問題

です。という訳で脱臭機について調べてみたんですが、まあ記事の少ないこと。レーザー加工機を使用する人々(自作以外も含む)の対処法はググった限りでは、

  1. そのまま耐える(対策しない)
  2. 屋外へそのまま排気
  3. 脱臭機購入
  4. 脱臭機自作

に別れるようで、中でも1,2が大半のようです。

3.に関しては、マトモなのを買おうと思うと10万円近いお金が吹き飛んでいく上にそこそこの場所を必要とするので今回は却下。しかもその割に活性炭とHEPAフィルタだけみたいなのも多いので、それならその辺の空気清浄機を魔改造する方が早い気がします。

そんなわけで自作することにしたわけです。ついでに資料が少ないので記録でも残そうかという流れになります。

方針

先程も述べたように、前例がほとんどないので、どうやって脱臭しようか本当に悩みました。辿り着いたのがこのサイト。

http://ponkobo.blogspot.com/2017/11/blog-post_12.html

活性炭がいいのは色んなとこに書いてあるけど、入れすぎると排気抵抗が高過ぎて逆にダメなのね…

とか思いながらボチボチ設計しつつ、お得意のTwitterで呟いたところ

こんなお返事が

EP(電気脱臭機)なるものの存在を初めて知りました。

ミストコレクターとか電気脱臭機で検索をかけるとヒットしますが、

「レーザー加工機 脱臭機」では全然ヒットしません。いやあこれは良いもの教えてもらいました。

赤鮭様本当にありがとうございます!!

教えてくださったご本人からも人柱レポをお願いされましたのでここに記録していこうかと思います。

脱臭機の製作

構成

電気脱臭機をメインにするとは決めましたが、これだけで足りるのかも分からないので

  1. HEPAフィルタ
  2. 電気脱臭
  3. 活性炭

と、てんこ盛り構成でいきます。

電気脱臭について

さて、電気脱臭と何度も言ってますがここまで詳しい説明をしてこなかったので、どんなものか説明しますと、

直流高電圧をかけて、排気中の微粒子を負に帯電させた後に、陽極板の付近を通すことで粒子をキャッチする

という仕組みになります。こんな感じ。

ミストコレクターのyoutube動画も有りましたのでリンク貼っておきます。

集塵率は99%位まで行くそうですので中々良いのではないでしょうか。

15kV程度の高電圧を使用します。こちらの記事を参考に自身で類似の物を作った際の怪我等につきまして当方は一切の責任を負いませんのでご注意下さい。

あくまでも参考にされる方は自己責任でお願い致します。

設計

筐体

箱を作るだけですのであまり述べることがありません。という訳でCAD図どうぞ。

入口の部分,ツライチになってない部分があると思いますが意図的です.この部分にゴム板を挟んだほうが良いかなと思ったので.ほかの部分も好きに直してください.ただし自分のところにコピーしてからいじってくださいねー.

レーザーカット前提の部品割りをしてます。しかも自分のレーザー加工機で作れるような割り方にしてるので、明らかに不要な割り方が一部されています。その辺は自分で改造するなりしてご利用いただければと思います。あと,前扉の蝶番はその辺のジャンクから適当にやろうと思ってCADに含めてすらいません.そんなわけで,このまま再現してもまともに組めません.予めご了承を.

電気脱臭部

メインは電気集塵機だと思いますので,こちらの方をメインで話します.

電気脱臭は高電圧を必要とします.というわけで高電圧を発生させるための回路を自作するところから始めます.使用するのは

コッククロフト・ウォルトン回路

になります.コンデンサとダイオードを組み合わせるだけで倍々に電圧が増えてくるという夢?のような回路です.詳しい話はここでは割愛します.回路図だけさらっとご紹介.ちなみに今回は28段用意しましたが,正直あまり段数を重ねても損失が大きくなって,後半は昇圧ができなくなってくるという欠点?があります.20段くらいあれば十分な気もします.

https://cc.cqpub.co.jp/system/contents/1306/より

ダイオードの向きによって正負が入れ替わります.ここでは負の高電圧が欲しいので,(b)の回路を使いました.とりあえずってことで,ブレッドボードに刺してます.一回逆向きに取り付けたりしてやり直したので作るときは注意しましょう.

で,これはあくまで増幅部なので,増幅元となるある程度の電圧を発生させる装置が必要です.

ということで12Vの適当な電源と,

秋月電子通商で売っている冷陰極管用のインバータ

DC12V 冷陰極管インバーター K-G00-500-A11: オプトエレクトロニクス 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
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これを組み合わせて,完成したのがこちら.インバータもテープで仮止め(笑)こんなんでも動作します(笑)

負の高電圧を針金上の導体に出してあげて,GNDをその周りに広く取ります.

これで,負に帯電させた微粒子をGND側に付着させます.

製作についての補足

製作も特筆することはありません。ただ,精度があまりよくないので引き出し部分が綺麗に嵌ってくれない(笑)

というわけで削ったりしてます.ちゃんと空隙を設けるように設計するなりしましょう.

あとはフィルタ交換用に前扉が空きますが、この部分は漏れを防ぐようにシールしましょう。現状めんどくさくてここ作ってないので(笑),テープで適当に止めてます.機能的には全く問題なし.

実際に使ってみた

電気脱臭の効果

電気脱臭あり

数か月運用してみました.

結果的に,においを完全に取り切るのは難しい,という印象です.炭やフィルタ等他の手段との併用でも完全にはにおいを取り除けていない感じです.煙はかなり少なくはなります.ただこちらも完全に取り切れるかというと…という印象です.

そもそも自作の筐体に隙間があり,そこから盛大に漏れているっぽいのを観測しています.場所が特定できていないので修正できていませんが,この部分を改良したら再度レビューするかも?しれません.

ちなみに,木材やらアクリルを何度もカットした後,メンテ代わりに覗いてみたら陰極側にびっしり煤がついていました.単純に煤が付いたのか,集塵した結果なのかが何とも言えない…

(本来陽極側に煤が付くはずなので,恐らく普通に煤が付いただけです.陽極側にも煤はついていましたので効果が全くない,というわけではなさそう?)

もしかすると電圧,電流が足りていない可能性等々は大いにあります.今回用いた回路だと,これ以上段数を増やしても効率が悪くなるので,別途対策をとらなければならないと思います.

電気脱臭なし

電気脱臭なしで,脱臭炭とHEPAフィルタで運用しても,やはりある程度効果があります.電気脱臭アリの方が良い気もしますが,自作er特有のプラセボ効果があるので,計測できない限りは深く言及はしません(笑)

まとめ

という訳で、自作界隈では(恐らく)初めての電気脱臭機能付きの脱臭機製作記録になります。

レーザー加工機で外側さえ作れば誰でも再現可能ですので、自作erだけでなく、

レーザー加工機買ってみたは良いものの臭過ぎて使い物にならないよ。

とお困りの方は一度試してみると良いのではないでしょうか。

ちなみに、電気脱臭だけで運用するのであれば、こんなに大きな箱である必要性は皆無で、ちょっと長めのパイプさえ用意すれば同様のことが出来ると思います!

完全に臭いを取り去るのは厳しいかもしれませんが、高電圧さえ気を付ければかなり安価に、省スペースで実現できるので、検討の余地はありそうです。

自作erはCO2レーザーの電源で20kV取り扱ってる訳ですし。

先に電気脱臭だけで効果が得られるのか,簡易的なシステムで検証すべきだったと今更ながら反省しています.

それ以前に筐体の隙間をなくすような工夫も必要ですね.先は長い…

検証したら記事にするかもしれません.

それでは。

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